目 次
内診はしません。
ただ月経痛が強いわけですから、子宮内膜症(卵巣チョコレート嚢胞)、子宮筋腫や子宮腺筋症の可能性もあり、超音波検査をお勧めしています。
膣からではなく、少し気持ち悪いですが、肛門からの超音波でも充分子宮や卵巣をチェックできます。
痛みは全くありません。
まず基礎体温を付けてみてください。
一般的には2相性の場合は排卵が起こっていると判断します。
ただ基礎体温表の赤線の36.7℃は平均的な高温相の目安であって、低温相の基線から0.3℃を足した体温があなたの高温相と考えてください。
過去の基礎体温を参考にして、予測陥落日の数日前から超音波検査で卵胞(卵子と卵胞液を含んだ袋)のサイズを計測します。
自然での排卵の場合は直径18~20mmで排卵します。
そして尿中の黄体化ホルモンも測定し、陽性に出だして数日以内に排卵することも参考にして判断します。
別の項で説明
ダメです。
毎月排卵や月経を起こす必要はありませんが、少なくとも2~3か月に1回は必ず子宮内膜をはがし、出血を起こしましょう。
月経が起こらなければ、ホルモン剤による出血でも構いません。
長期間無排卵のまま放置して子宮内膜が萎縮し、今後妊娠しにくくなっても困ります。
また逆に排卵後の黄体ホルモンが出ないために、長期間の卵胞ホルモンだけの刺激で子宮内膜が増殖し続け、子宮内膜増殖症になることも心配です。
月経移動には早める方法と遅らせる方法とがありますが、確実性から言って遅らせるほうが多いと思います。
予定月経の5日ほど前から月経を回避したい最後の日まで中用量ピルを服用します。
服用終了後数日で月経が起こるのが一般的です。
早める場合は月経周期の3~5日目より10日間ほど服用して服薬終了後に出血を起こすことを期待します。
しかし、予定通りに出血が起こるとは限りませんし、また次の周期の排卵が予定の日程で起こるとは限りませんので、注意が必要です。
1年以上の無月経を確認して閉経と判断しますが、ホルモン値で判断する場合は血中卵胞刺激ホルモン(FSH)が40mIU/ml以上、かつ卵胞ホルモン(E2)が20pg/ml以下をもって判断します。
即ち、脳(下垂体)から排卵せよとのムチ(FSH)が嫌と言うほど入るものの、卵巣が全く反応せず卵子発育時に出てくるE2が全く産生されていない状態と解釈できます。
念のために1~2か月後に再検査します。
月経痛(生理痛)が強い場合には
①器質性月経困難症:子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮内膜症、子宮奇形などが原因
②機能性月経困難症:器質的な疾患がなく、子宮、卵巣などに異常みられない場合
の2つに分類されます。
まず、機能性月経困難症に対しては、鎮痛剤や漢方薬が第1選択で、効果が不充分な場合は低用量ピルを用います。
一方、器質性月経困難症にはそれぞれの疾患に応じた治療が必要ですが、病変が軽度の場合は、やはり鎮痛剤や漢方薬、低用量ピル、そして黄体ホルモン、偽閉経療法などが考えられ、病変が高度の場合は手術が考慮されます。
症例(内膜症など)によっては黄体ホルモンが著効する場合があり、血栓症や骨塩量をあまり心配せず、長期間使用可能です。
また26年12月から保険適応になりましたが、高濃度黄体ホルモン付加子宮内リングが有効な場合があります。
5年間子宮内に留置可能ですが、リングであり経産婦の方に使用する場合が大半です。
まず子宮筋腫、内膜ポリープ、子宮腺筋症、子宮内膜症などの器質的な原因がないかを調べ、ない場合には、まず止血剤や低用量ピルを試みます。
ピルで月経量が43%減少したとの報告もあります。次いで効果がない場合やピルが使用できない症例には偽閉経療法や黄体ホルモン持続療法を行います。
また26年9月から保険適応になりましたが、高濃度黄体ホルモン付加子宮内リングが著効を示す場合があります。
5年間子宮内に留置可能ですが、リングであり経産婦の方に使用する場合が大半です。
勿論、子宮筋腫や子宮内膜症などの高度の病変が原因である場合は手術療法が優先されます。
月経を有する女性の約80%は月経前に何らかの症状を呈すると言われています。
この月経前症候群は月経前3~10日間の黄体期に続くイライラ、怒りっぽい、頭痛、落ち着かないなどの精神的症状やのぼせ、下腹部膨満感、腰痛などの身体的症状を呈し、月経発来とともに減弱、消失する病気です。
原因は不明ですが、排卵後の黄体ホルモンが誘因であることは間違いなく、この黄体ホルモンに身体が過剰に反応しているためと思われます。
治療は生活指導、薬物療法があり、薬物では低用量ピル、漢方薬、向精神薬などを処方します。
これでも治療効果が得られない場合には月経を止める偽閉経療法を行いますが、この際には更年期様症状の出現にも注意が必要です。
自然流産の発生頻度は一般に14~15%で、40%の女性が生涯に1度は流産を経験します。
母体の加齢とともに流産率は高くなり、40歳以上では40~50%の方が流産すると言われています。
流産の原因には大きく分けて、胎児側の原因と母体側の原因に分かれます。
7割以上が胎児側の原因で、大半が偶発的に起こった染色体異常が原因と言われています。
残念ながら、この偶発的に起こる胎児染色体異常への対応方法はありません。
母体側の原因としては子宮の形態異常、感染症、内分泌異常(甲状腺機能不全や糖代謝異常)や胎盤組織に血栓を形成しやすい病態(抗リン脂質抗体症候群)などが考えられます。
原因がはっきりとすれば、それに対する治療を行います。
しかし、流産の原因がはっきりしない症例も多く、1回、2回と流産された方が次回も流産する確率は各々約15%、25%と言われ、1回の流産(10週未満)では検査の必要はありません。
そして何度か流産されても最終的には約85%の方が赤ちゃんを抱いておられます。
厚生労働省の不育症研究班のホームページがあります不育症に関するページはこちら
私のクリニックでは煙草を吸われる方と40歳以上の方には原則処方していません。
低用量ピルの副作用で一番に気を付けないといけないのが、静脈血栓塞栓症です。
多くは下肢の静脈に血栓(血が固まり、血管壁に付着)が形成され、これが剥がれて血流にのり肺動脈などを塞いでしまいます。
放置すると死に至る可能性もあり、服用後3~4か月後に発症することが多いとされています。
しかし、その頻度は多くありません。
日本では低用量ピル非服用女性1万人あたり年間0.5人に対して、服用女性は3~5倍になると言われており、患者数で言うと1万人当たり数人の増加と言うことになります。
しかし、喫煙、年齢、肥満、高血圧などでその頻度は大きく上昇してしまうのです。
飛行機での海外旅行で、エコノミークラスの窓側の席でトイレを我慢して、水分を控え、狭い空間でじっと動かず我慢する、最悪のパターンと言われています。
静脈に血栓が出来やすくなる原因には大きく、
1)血液が凝固しやすい性状になる。
2)血液の流れが緩やかになる。
3)静脈壁が傷つく。
の3つがあります。上記の飛行機旅行を考えた場合、まず服用しているピルは少し血液の凝固機能を亢進させます。
更に水分を控えるために脱水気味で血液が濃くなってしまう、これも凝固の促進因子です。
さらに座ったまま、じっとして筋肉を動かしていないので血液の流れも緩やかになっている状況です。
1)と2)の要因を無理に作っている状況です!
対策としては、水分をしっかりと摂取してなるべく通路側に座って、トイレも我慢せず、足のふくらはぎの筋肉をしっかり屈曲、伸展させるなどして、体を適度に動かすことが大切です。
子宮のポリープには出来る部位によって子宮頸管ポリープと子宮内膜ポリープの2種類があります。
一般の子宮がん検診時に視診で指摘されるのは子宮の頸管(入口)に出来る頸管ポリープです。
大きさはまちまちですが、出血している場合は捻除して良性であることを確認したほうがいいでしょう。
出血していなくて、さほど大きくない場合はどうするか、悩むところですが、一般には子宮頸管ポリープは1000分の1の割合で悪性の可能性がありと言われています。
ただ簡単に外来で稔除できますが、3割負担でも約6000円のコストがかかります。
どうするかは最終的には患者様に判断してもらっています。
子宮内膜ポリープは内診では判断できず、超音波検査でまず判断します。
子宮内膜組織診断で悪性を除外した後に内視鏡(子宮鏡)検査で確認して、大きさ、数、部位により治療方針を決めます。
経過観察か子宮鏡下生検術か子宮鏡下内膜ポリープ切除術か?を判断します。
大丈夫です。
妊娠中のインフルエンザは重症化する可能性があり、インフルエンザに感染する可能性のある妊婦さんは妊娠週数に関係なく積極的にワクチンを受けてください。
ワクチンの胎児への影響はないと言われています。
婦人科一般検診では内診や超音波検査で卵巣の腫大がないかどうかもチェックしています。
しかし、卵巣が正常の大きさや画像パターンであっても卵巣がんではないと言い切れないのが現状です。
子宮頚部がん検診では内診の上、子宮頚部から直接細胞や組織を採取して、がん細胞の有無を調べるわけです。
しかし、卵巣は骨盤内の臓器であり、手術をしない限り細胞や組織は採取出来ません。
卵巣がんが心配ですと来られたら、まず超音波検査を行い、これで問題点があれば、MRIや血中腫瘍マーカーなどを検索する流れが一般的だと思います。
ですから"卵巣がん検診"という言い方は正確ではありません。
子宮頚部癌検診と一緒に毎回体部癌検診することは少なく、一般に最近6か月以内に不正出血のあった40歳以上の女性が対象です。
他には月経不順、肥満、糖尿病、悪性腫瘍の既往などのある方も少し注意が必要です。
また検査の申し出がなくても、一般検診時の経膣超音波検査で子宮内膜面に不整を認めた場合には検査を勧める場合もあります。
勿論、不正出血があれば検診ではなくて、すぐに受診してしっかりと検査を受けてください。
子宮体部細胞診はマッチ棒ぐらいの細さのブラシのついた棒を子宮内に挿入して内膜面を少しこすります。
一瞬ですが、少し生理痛の様な痛みがあるかと思います。
性感染症とは性交渉で伝播される病気の総称です。
従来の性病(梅毒・淋病・軟性下疳など)より幅広い呼び名で、
1)性器クラミジア
2)性器ヘルペス
3)性器コンジローマ
4)淋病
5)梅毒
6)膣炎を起こすカンジダ、トリコモナス
7)毛じらみ
8)肝炎ウイルス(B型・C型)
9)エイズ(HIV)
などが主だった病気です。
それぞれの潜伏期を考慮して、充分な検査と治療が必要です。
性感染症で特に注意すべきは相手の男性(配偶者・パートナー)も充分検査して同時に治療することが大切です。
そうしないとお互いがいつまで経っても移し合います。(ピンポン感染)
カンジダは消化管や皮膚の常在菌で、カンジダが膣内に存在するからと言って治療の対象にはなりません。
膣炎を発症した段階で治療を開始し、膣洗浄後に抗真菌膣錠を挿入します。
90%は初回治療により治癒しますが、一部は再発を繰り返します。
年間4回以上再発を繰り返す場合を再発性カンジダ性膣炎と言い、難治性です。
膣内に検出されるカンジダには数種類あり、9割がカンジダ・アルビカンスですが、難治性の場合はカンジダ・グラブラータの場合が多く、抗真菌剤にも抵抗を示す場合が多いと言われています。
ですから繰り返す場合は初回使用の薬剤と異なる薬剤を長い目に投与することも試みられています。
また局所の抵抗力が落ちる糖尿病や抗生物質投与にも注意が必要です。
膣錠を使用しても膣炎を繰り返す場合には経口治療薬も併用します。
大きく3つの可能性があります。
①カビ(真菌)、トリコモナス、細菌、ウイルスなどが原因の外陰炎
②下着、生理用品などによるかぶれの接触性皮膚炎
③年配の方に多い萎縮性膣・外陰炎
があります。
これに尖圭コンジローマ、毛じらみ、また糖尿病などの全身性疾患も考えられます。
治療はかゆみの原因になっている真菌や細菌などが確認できれば、それに対する薬を使用。
またかぶれの原因が解ればその刺激を排除して、ステロイドホルモンの軟膏を使用します。
問題は閉経後の年配の方に多い萎縮性膣・外陰炎です。
加齢に伴い女性ホルモンが極端に低下して膣の粘膜や外陰部の粘膜が薄く、もろく、抵抗力が弱まり、膣や外陰部に炎症を起こします。
汚黄色帯下、乾燥感、掻痒感、違和感を訴えられる場合が多く、その際には基本膣内には女性ホルモンの膣錠を使用し、外陰部にはステロイドの軟膏を併用します。
子宮筋腫は珍しい病気ではなく、40歳を過ぎれば3人に1人は筋腫を持っています。
筋腫の原因は分かっていませんが、増大する原因は排卵の際に卵巣から多量に分泌される女性ホルモン(卵胞ホルモン)です。
ですから閉経になったり、排卵を抑えて偽閉経状態にすれば子宮筋腫は縮小する可能性が高くなります。
しかし偽閉経療法終了後に排卵・月経が再開すれば、3~4か月後に元の大きさに戻ると言われています。
閉経まで待たないで、手術を考える場合は
1)極端に大きい
2)極端な症状(出血・痛み)
3)悪性の可能性のある筋腫です。手術となればアプローチは経腹(開腹・腹腔鏡)か経膣か子宮鏡下手術か、そして筋腫のみの核出か子宮全摘出かなど手術方法が検討されます。
子宮内膜症とは本来子宮内腔を裏打ちしている子宮内膜の細胞が子宮内腔面以外、主に骨盤内臓器に発育する病気です。
全女性の10%にみられ、子宮内膜症の50%が不妊症、逆に不妊症患者の30~40%が子宮内膜症と言われています。
原因は月経血が子宮内腔から卵管を通して骨盤内に逆流し、その中に含まれる子宮内膜細胞が運悪く腹膜面や卵巣表面に生着するためと言われています。
この生着した内膜細胞が毎月の月経時にごく少量づつ出血し、古くなった血液が血糊の様になって子宮と周辺の卵巣・卵管・腸管などの臓器と癒着を起こして月経痛、下腹痛、排便痛、性交痛などを引き起こす病気です。
治療法については、診療内容のコーナーをご覧ください。