低用量経口避妊薬(低用量ピル)は可逆的避妊法の中で避妊効果において優れた、安全性の高い方法であるとされています。
この低用量ピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンの女性ホルモン2種類の合剤であり、そのホルモン量が時期によらず全ての錠剤で一定な"一相性"と3段階に変化する"三相性"の2つのタイプがあります。
また、最近では月経困難症で保険適応のある低用量ピルも何種類かありますが、避妊用ピルとは含有ホルモン量に違いがあり、避妊目的には使用できません。
下記の項目に該当される方は服用を控えてください。
1)高血圧
2)喫煙
3)肥満
4)高年齢(40歳以上は慎重投与・45歳以上は原則禁忌)
5)片頭痛
6)糖尿病
7)妊娠・授乳中
8)手術前・手術後
9)肝機能障害
10)てんかん治療薬など服用中
①マイナートラブル
嘔気、嘔吐、頭痛、乳房の張り、不正出血などがみられることがありますが、軽度なら3周期目までに軽快することが多いと言われています。
②ガンになりやすくならないか心配
子宮頚ガン:長期間服用(5年以上)で、ほんの少し増加する可能性があると言われています。
乳ガン:増加しない
③重篤な副作用・合併症
静脈血栓塞栓症
低用量ピル服用により静脈血栓塞栓症のリスクは3~5倍増加するとの報告があります。
ただ危険度が数倍と言っても、増加する人数で表すと低用量ピル非服用者は1万人あたり年間0.5人発症、
これが低用量ピルの服用者では1.5人~2.5人で1~2人の増加となります。
発症は服用開始後4か月以内が多く、中止後3か月以内に非服用者のレベルに戻るとされています。
脳梗塞
心筋梗塞(喫煙者では更に危険性高まる)
月経困難症・過多月経の症状改善
子宮内膜症の病態改善
卵巣癌・卵巣嚢腫・子宮体癌のリスクの減少
避妊用ピルは初めての方は初診料(自費)1,000円、再診の方は再診料(自費)500円に低用量ピル1周期(1シート)につき自費で3000円(税込)かかります。
原則、チェックリスト記入のうえ、血圧測定、体重測定のみで、採血はありません。
指示通りに服用しても100%ではありません。
1年間使用しての失敗率(妊娠率)は0.3%です。
ちなみにコンドームは2%、避妊子宮内リング0.1~0.6%、女性避妊手術は0.5%と報告されています。
どんな薬でも必ず副作用はあります。
期待する治療効果に対して、起こりうる副作用の程度と頻度との天秤ですが、日本産婦人科学会のガイドラインでも安全性の高い薬剤であるとされています。
ただ100%安全とは言い切れません。起こりうる副作用に対して充分理解して、早い目の対応をお願いいたします。
副作用については別のコーナーで紹介、説明しています。
自然な月経の回復率は服用終了後1か月以内で約50%、2か月以内で約95%と報告されています。
長期間服用した場合には少し時間がかかることもありますが、通常3~4か月で回復します。
また最初の月経周期は内膜が薄くなることがあり、出来れば回復2周期目よりの妊娠をお勧めします。
嘔気、嘔吐、頭重感、乳房の張り、軽度の不正出血などの副作用(マイナートラブル)は服用1~2か月目に起こることが多く、3周期程度服用していると軽減する場合が多いと言われています。
軽減しない場合はホルモン組成や含有量の異なる他薬剤に変更することで解決することも多くみられます。
低用量ピルを服用すると太りやすくなるとの思い込みをされている方がおられますが、これは事実でないことが証明されています。
ただ食欲が少し亢進する方がおられます。
そのような場合には食事内容に注意して下さい。
絶対にダメです。
絶対に友達からもらっての服用はしないでください。
必ず医療機関で問診を受け、服薬指導を受けたあと必要なら薬剤変更して服用してください。
低用量ピルには、ホルモン剤の組成パターンの違い、含有量の違い、ホルモン剤の種類などでいくつかの種類があり、それぞれには特徴がありますので説明を受けて、充分理解してからの服用が絶対に必要です。
1%未満の方に服用後の月経様出血がおこらないことが報告されています。
出血が見られない場合、まず妊娠していないかどうかを調べます。
妊娠が確実に除外された場合には特に問題ないとされていますが、念のため4周期出血がない場合はご相談下さい。
服用中に異常出血が続いた場合、妊娠や悪性疾患など基礎疾患がないかどうかを調べます。
基礎疾患がなければ出血量にかかわらず、ピルの服用を続行していただきます。
通常は周期を重ねて反復投与を続けると減少・消去するとされていますが、出血量が多く心配な場合はご相談下さい。
簡単です。
一相性のピル(マーベロン)を服用されているのであれば、ホルモン剤の入っていない錠剤(偽薬)を飲まないで、新しいシートのホルモン剤の入っている錠剤を旅行の最後の日まで服用ください。
服用終了後数日後に延ばしていた出血が起こるはずです。
ただ三相性のピルの場合には注意が必要ですので、必ず主治医とよく相談ください。
ホルモン量を少しでも減らす目的で、自然のホルモンの変化に合わせて3段階に変化させたのが三相性のピルです。
自然のパターンに近く不正出血を起こす可能性が低いとの印象を持たれている医師もおられます。
一方、一相性のピルは月経様の出血が旅行などと重なる場合には簡単に移動させることが出来、また月経前症候群の症状が軽減しやすいとの報告もあります。
1日分(1錠)飲み忘れた場合、気づいた時点で、ただちに飲み忘れた錠剤を服用し、その次の錠剤は通常通り服用します。
翌日に気づいた場合は、その日は2錠を服用することになります。
2日分(2錠)以上連続して飲み忘れた場合は服用を中止して下さい。
中止している間は他の避妊法を行ってください。
詳しくは低用量ピルのパンフレットを参照下さい。