不正出血や血性帯下があったり、以前から子宮膣部のビラン(ただれ)が指摘されており、悪いもの(子宮がん)ではないかと心配して来られる場合で診療費の3割が自己負担です。
会社によって子宮がん検診の補助の割合は費用全額を負担したり、上限が決まっていたりとバラバラです。
また検診の内容も子宮頚がん検診だけでなく、子宮体がん検診もカバーする会社もあります。
まず補助してもらえる金額、内容を事前に必ず会社に確認しておいて下さい。
当クリニックでは、
1.子宮頚がん検診(エコー含む):
7,330円
2.子宮頚がん・体がん検診:
14,030円を自費で徴収させていただいています。
子宮がん検診をする部位には2カ所あります。
入口を軟らかいブラシか綿棒でこすって細胞を採ります。
少し出血をすることがあります。痛みは殆どありません。
子宮体部の内膜面に非常に細いブラシを挿入してこすりますので、一瞬ですが検査時少し痛みがあると思います。
出血も少しありますので当日はシャワーのみとして下さい。
子宮頚部がんの原因は分かっています。
100種類ほどあるヒトパピローマウイルス(HPV)のうち16型、18型など約13種類のHPVが癌を引き起こすと言われています。
まず性交渉を介してこのグループのウイルスが子宮頚部の粘膜面に感染して、付着します。
実際、性交渉のある女性の80~90%は一生のうち一度は、このグループのHPVに感染します。
しかし、感染しても1~2年で約90%の女性が自然に排除します。
また付着、排除、これを繰り返しています。
ただ約10%の女性が運悪く持続感染となり、5~10年と言う期間で前がん状態の異形成に移行していきます。
ただ軽度異形成、中等度異形成の1部は進行しないで何年も留まったり、また治る場合もあります。
しかし、免疫や喫煙などの要因が加わり、中等度異形成の約10%は癌に進行すると言われており、中等度異形成→高度異形成→上皮内がん→浸潤がんへの流れは間違いありません。
従来の子宮頚がんワクチンは2価(16.18)、4価(6.11.16.18)のHPVに対するワクチンであり、60~70%の予防効果が示されています。
一方、2023年4月より使用されている9価(6.11.16.18.31.33.45.52.58)のHPVに対するワクチンは、90%以上の予防効果があると言われています。
但し一旦性交渉で子宮頚部に侵入したウィルスを排除する作用はありません。
初めての性交渉(初交)前に接種することが重要です。
また、予防効果は100%ではありませんので、ワクチンを受けられた方でも、検診は必ず受けて下さい。
現在、日本では年間約9000人の女性が子宮頚がんと診断され、約2700人の女性が子宮頚がんで死亡されていると報告されています。
子宮体部がんは多くの場合は過剰なホルモンの作用で子宮内膜が増殖し、
それを構成する細胞が異型を示して子宮内膜がんに発展していくと考えられています。
ヒトパピローマウイルスとは関連ありません。子宮体部がんの危険因子には肥満・糖尿病・排卵障害・月経周期不整・遅い閉経・不妊・乳癌の既往・タモキシフェン(乳癌後に服用するホルモン剤の一種)服用・卵胞ホルモン使用など、子宮内膜増殖症になりやすい症例が挙げられ、子宮体部がんは増加傾向にあります。
子宮体部がん症例の約90%は不正出血を伴っています。
40歳以上が93%を占めており、とくに閉経後の不正出血は要注意です。
希望であれば行いますが、一般的には同時に検査をすることはしません。
ただ最近6カ月以内に不正性器出血、褐色・血性帯下を認めた場合には積極的に子宮内膜細胞診も受けて下さい。
また不正出血がなくても上記の子宮体がんの危険因子を有する方は担当医に相談してみてください。
最近では50歳以上の女性においては子宮体部がんの発見率が高く、少なくとも1度は検診を受けるべきだとする意見もみられます。
性交渉がなければ子宮頚部がんの可能性はまず否定でき、子宮頚がん検診は必要はありません。
ですが強い月経障害や下腹部痛などがある場合には若くても子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍などが見つかる場合もあります。
症状があれば、一般診療として受診ください。
性交渉がなければ内診なしで、エコーなどで子宮、卵巣をチェックします。
膣内は無菌ではなく、多少の雑菌がいるのが一般的です。
陰性の検査結果伝票の80%以上に軽い炎症性の変化がみられると記載されています。
かゆみや帯下の増加がなければ治療の必要はありません。
今のところ自費ですが、ヒトパピローマウイルス(HPV)検査を併用し、陰性であれば3年に1回の子宮頚部がん検診でいいと言われています。
HPV検査をしていない場合には1年に1回の検診をお勧めいたします。
検診時には細胞診のみならず、同時に行う内診や経腟超音波検査で子宮・卵巣の腫大などの異常の有無もチェックが可能です。
何歳までの検診が必要か?ガイドラインには出ていませんが、65歳以上で今までのがん検診で異常がなく、不正出血などの症状がなければ、私は2~3年に1回の検診を勧めています。
勿論、卵巣腫瘍や大きな筋腫などあり、一般の婦人科検診が必要な場合は担当医師とよく相談してください。
閉経後は子宮頚部も萎縮傾向にあり、硬くなって検査のブラシが入らないこともあります。
あまり無理すると子宮に傷をつけることにもなりかねません。
ブラシが入らなければ、更に細い栄養チューブ(そうめんの太さ)を入れて吸引して子宮内容液の回収を何とか試みます。
それでもダメなら経膣超音波検査で子宮内膜の厚さと不整がないかをチェックし、3mm以下の厚さなら体部がんの可能性は少ないとも言われています。