基礎体温とは?
何のために計測するの?
基礎体温とは、「安静時の最も低い体温」のことです。厳密には睡眠中の体温ですが、ご自宅で測定する場合は、朝起きてすぐ、舌の裏で体温計を使って測ります。
女性はホルモン分泌の影響で基礎体温が変化しやすいため、毎日記録することで排卵日の予測や身体のリズムを把握することができます。妊活や不妊治療だけでなく、健康管理にも役立つので、今日から測定と記録を始めてみましょう。
基礎体温のリズムと
変化について
女性の基礎体温はホルモンの影響で「低温期」と「高温期」の2つに分かれます。
「低温期」は月経期と卵胞期を合わせた約14日間を、「高温期」は排卵期と黄体期を合わせた約14日間をそれぞれ指します。それぞれの特徴は以下の通りです。
月経期
妊娠していない場合、月経が始まります。この時期、エストロゲンとプロゲステロンの量が減少し、基礎体温は低下します。
卵胞期
(新しい周期の始まり)
卵胞ホルモンの働きで心身の状態が安定し、基礎体温は低温を保ちます。
排卵期
(最も妊娠しやすい時期)
卵胞ホルモンの分泌がピークに達し、基礎体温が徐々に上昇します。この時期、透明で粘性の高いおりものが増えることがあります。
黄体期
(体温上昇と高温期の維持)
黄体ホルモンの影響で基礎体温が0.3~0.6℃上昇し、高温期が続きます。妊娠している場合は高温期が継続し、妊娠していない場合は月経が始まる前に体温が低下します。女性によっては、月経前からさまざまな心身の不快な症状が現れます。
妊娠中の基礎体温が
高いままで大丈夫?
妊娠すると、黄体ホルモンの分泌が続くため、排卵後の高温期が2週間以上続きます。月経が来ず高温期が2週間以上続く場合は、妊娠の可能性を考え、産婦人科を受診してください。
排卵後の基礎体温の変化
排卵が起こると、基礎体温にははっきりとした変化が現れます。排卵前までは「低温期」と呼ばれ、通常は36.0℃~36.5℃程度の体温を維持します。排卵が終わると、体内で黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになり、その影響で基礎体温が上昇し、「高温期」と呼ばれる時期に移行します。この高温期では、基礎体温が37.0℃前後になるのが一般的です。
通常、高温期は約14日間続き、その後黄体ホルモンの分泌が減少することで体温が低下し、月経が始まります。一方、妊娠が成立した場合は、黄体ホルモンの分泌が継続されるため、高温期が持続します。基礎体温が14日以上高い状態が続いている場合、妊娠の兆候と考えられるため、産婦人科を受診することをおすすめします。
このような基礎体温の変化を観察することで、排卵の有無や妊娠の可能性を把握できるため、毎日の基礎体温の測定は妊活中の方にとって非常に役立つ方法です。
基礎体温の測定方法
基礎体温を正確に測るためには、正しい方法を守ることが大切です。以下の3つのポイントを意識して測定しましょう。
①朝、目を覚ましたらすぐ測る
起床後は、立ち上がったり身体を起こしたりするだけでも体温が上昇してしまいます。
そのため、枕元に体温計を用意しておき、目が覚めたら横になったまま基礎体温を測定するようにしましょう。
②舌の裏側で測る
体温計は舌の裏側の根元に当てて測ります。舌の裏には真ん中に筋がありますが、その左または右の窪みに体温計の先端をしっかり差し込んで測定してください。この位置で測ると、正確な体温を測りやすくなります。
③測っているあいだは、
口を閉じてじっとしておく
測定中に体温が上がらないよう、体温計を舌の裏に差し込んだら、口を閉じて動かずに待ちます。身体を起こすだけでも体温が上昇してしまうため、測定が終わるまで安静にしておくことが大切です。
正確な基礎体温の記録は、身体のリズムを把握し、妊活や健康管理に役立ちますので、習慣化していきましょう。
基礎体温を正しく測定するために
基礎体温を正確に測定するには、以下のポイントを守ることが重要です。
毎日決まった時間に測定する習慣をつけましょう。起床後すぐに測ることが基本ですが、起床時間が日によって異なると、正確なデータが得られない可能性があります。
さらに、十分な睡眠時間を確保することも大切です。睡眠時間が短いと、体温が睡眠中に十分に下がらないため、正確な基礎体温が測れなくなることがあります。また、健康的な生活を送ることが、正確な測定と妊娠しやすい身体づくりの基盤になります。規則正しい生活リズムを守り、十分な睡眠をとりましょう。加えて、バランスの良い食事や適度な運動を日常生活に取り入れることで、心身ともに整えることができます。
これらの習慣を意識することで、基礎体温の測定はもちろん、健康管理や妊娠の可能性を高める助けにもなります。
基礎体温に関するよくある質問
妊娠中と生理中で基礎体温の違いはどれくらいありますか?
妊娠している場合、高温期が14日以上続き、低温期と比べて基礎体温が0.3~0.6℃高くなります。
高温期が長期間続いて生理が来ない場合は、妊娠の可能性を考え、産婦人科を受診してください。
基礎体温が低いままでも妊娠することはできますか?
高温期に入った後でも基礎体温が低いままであっても、そのことだけで妊娠の可能性を否定することはできません。
基礎体温が十分に上がらなくても、排卵があれば妊娠する可能性はあります。
基礎体温が下がったらどのくらいで生理は来ますか?
個人差はありますが、低温期と高温期はそれぞれ、約2週間です。
まず低温期が約2週間続き、次に排卵を経て高温期が2週間続き、(妊娠が成立しておらず)その高温期が終われば生理が来ますので、約1カ月後ということになります。
高温期のまま生理がくるのはどうしてですか?
高温期が続いている状態で少量の出血があった場合、考えられるのは妊娠です。この出血は生理ではなく、着床に伴う出血の可能性があります。
出血があった日から5日後を目安に妊娠検査薬を使用し、陽性であれば産婦人科を受診してください。陰性の場合でも何らかの異常が考えられるため、早めに医師の診察を受けることをおすすめします。