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子宮内膜症

子宮内膜症とは

子宮内膜症とは子宮内膜症とは、本来であれば子宮内で育つはずの子宮内膜、または類似する組織が子宮外で発生・増殖する疾患です。
異常な子宮内膜または類似する組織が発生する主な部位は以下の通りです。
  • 卵巣
  • 卵管
  • ダグラス窩(子宮と直腸の間の窪み)
  • 仙骨子宮靭帯(子宮を支える靭帯)
  • 膀胱子宮窩(子宮と膀胱の間の窪み)

まれに、胸腔や尿管、膀胱、腸管などにも発生することがあります。
これらの異常な組織は、通常の子宮内膜と同様にホルモンの影響を受けて増殖・剥離を繰り返し、周囲の臓器と癒着したり、経血の体外排出を妨げることでさまざまな合併症を引き起こします。

子宮内膜症のステージ・
進行

ステージ1

  • 異常な組織が子宮以外の部位に散らばり、成長を始める段階です。
  • 月経と同期して剥離・出血し、血種を形成します。
  • 症状:ほとんど無症状で、検査や手術中に偶然発見されることが多いです。

ステージ2

  • 異常な組織が増殖・剥離を繰り返し、病巣が広がる段階です。
  • 症状:経血量の増加や、生理痛の悪化など、自覚症状が現れ始めます。

ステージ3

  • 異常な組織が塊を形成し、卵巣・卵管・腹膜との癒着が始まります。
  • 特徴:卵巣内で増殖した場合、チョコレート色の血液が溜まる「チョコレート嚢腫」が見られます。
  • 症状:性交痛、強い生理痛などが特徴的です。

ステージ4

  • 異常な組織が複数の臓器(卵巣、卵管、子宮、膀胱、直腸、小腸など)に増殖する段階です。
  • 症状:慢性的な強い下腹部痛や腰痛が続き、日常生活が困難になるほどの症状が現れます。

子宮内膜症の症状チェック

子宮内膜症の症状チェック次の質問に該当する項目が多い場合、子宮内膜症の可能性があるため、専門医の診察を受けることをおすすめします。当院では、詳しいカウンセリングと適切な診断を通じて、早期発見と最適な治療方法をご提案します。

質問 はい いいえ
1. 生理痛が非常に強く、市販の鎮痛剤では痛みが緩和されない    
2. 生理中以外にも下腹部や骨盤に痛みを感じることがある    
3. 性交時に痛みを感じることがある    
4. 排便時に痛みを感じることがある    
5. 生理の出血量が非常に多い    
6. 生理の周期が不規則で、長期にわたって続くことがある    
7. 生理時の頭痛、吐き気、嘔吐など、他の身体症状も伴うことがある    
8. 不妊症や妊娠の困難さを感じている    
9. 強い疲労感や体のだるさを感じることが頻繁にある    
10. 親族に子宮内膜症の診断を受けた人がいる    

チェック結果について

  • 「はい」が3つ以上ある場合

子宮内膜症の可能性が考えられます。
痛みや症状が日常生活に支障をきたしている場合は、お早めに専門医へご相談ください。当院では、症状に応じた診察・治療を行い、患者様に寄り添ったケアをご提供します。不安や疑問がある場合には、いつでもお問い合わせください。

子宮内膜症の原因

子宮内膜症の明確な原因は解明されていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています。

月経血の逆流

月経時に子宮内膜組織を含む経血が卵管を通じて逆流し、骨盤内に付着することが発症の一因と考えられます。

免疫機能の異常

体内で正常な細胞や組織を異物として認識し、攻撃する免疫系の異常が関与している可能性があります。

遺伝的要因

家族に子宮内膜症の既往がある場合、発症リスクが高まると言われています。

ライフスタイルやストレス

睡眠不足、運動不足、食生活の乱れ、精神的ストレスなどが病気の発症や悪化に影響を与える可能性があります。

子宮内膜症の診断・検査方法

子宮内膜症の診断には以下の方法が用いられます。

問診

症状や不妊の有無、月経の状態、痛みの程度などを詳しくお伺いします。

内診

骨盤内の状態を確認し、しこりや異常を調べます。

超音波検査

チョコレート嚢胞(卵巣内にできる血液の溜まり)などの有無を確認します。

血液検査

特定の腫瘍マーカー(CA125など)の値を測定し、異常を探ります。

MRI検査

病変の広がりや位置を詳細に把握するために行います。

腹腔鏡検査

小さなカメラを腹部に挿入し、病変を直接観察する最も確実な診断方法です。同時に治療も行える場合があります。

子宮内膜症の治療法

症状や患者様のご希望に応じて、以下の治療法を組み合わせて行います。

対症療法 (痛み止めなど)

  • 痛みを軽減するため、鎮痛薬を処方します。
  • 漢方薬を用いた治療も選択肢に含め、体質や症状に応じた治療を行います。

ホルモン療法

エストロゲンを抑制することで、異常な子宮内膜組織の増殖を防ぎます。

ピル(低用量経口避妊薬)

月経を軽減し、症状を和らげる効果があります。

黄体ホルモン療法

プロゲステロンを補充して、病巣の増殖を抑えます。

偽閉経療法

GnRHアゴニストなどを使用し、一時的に閉経状態を作り出して治療を行います。

手術

症状が重い場合や妊娠を希望する場合には手術が検討されます。

癒着剥離術

骨盤内で癒着した臓器を分離します。

嚢腫壁焼灼術

チョコレート嚢胞の壁を焼灼し、症状を軽減します。

嚢胞摘出術

卵巣内のチョコレート嚢胞を摘出します。

付属器摘出術

症状が進行している場合、卵巣・卵管を含む付属器を摘出する場合があります。

妊娠を希望する場合は、可能な限り子宮・卵巣の機能を温存するよう配慮します。妊娠の希望がない場合は、病巣の完全な切除を優先します。

当院では患者様一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた治療計画を立て、安心して治療を受けていただけるようサポートします。ご不明点や不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

子宮内膜症に関する
よくある質問

子宮内膜症の痛みはどんなものですか?

初期の子宮内膜症では、ほとんど症状がない場合が多いですが、進行するにつれて以下のような痛みが現れます。

  • 生理痛:約90%の患者様が経験する最も一般的な症状です。痛みが強く、時には起き上がれないほどの状態になることがあります。
  • 下腹部痛・腰痛:月経期間以外でも痛みを感じることがあります。
  • 性交痛:子宮内膜症の病変が深部に及ぶ場合、性交時に痛みが生じることがあります。
  • 排便痛:特に直腸付近に病変がある場合、排便時に強い痛みを伴うことがあります。また、経血量が増加し、貧血や疲労感を伴うこともあります。さらに、子宮内膜症は不妊の原因になることもあります。

子宮内膜症は放置していても大丈夫ですか?

放置することは推奨されません。子宮内膜症を治療せずに放置すると、以下のようなリスクが高まります。

  • 症状の悪化:生理痛や下腹部痛が強くなり、日常生活に支障をきたす可能性があります。
  • 不妊:卵巣や卵管での異常な組織の増殖が、妊娠を妨げることがあります。
  • 他の臓器への影響:病変が進行し、膀胱や腸などの周辺臓器に影響を及ぼす場合があります。症状がある場合は、早めに医師の診察を受け、適切な治療を開始することをおすすめします。

症状がある場合は、早めに医師の診察を受け、適切な治療を開始することをおすすめします。

子宮内膜症になると性行為ができなくなりますか?

子宮内膜症そのものが性行為を禁止する理由にはなりません。ただし、以下のような状況では性行為が難しくなることがあります。

  • 性交痛:病変が深部に及ぶ場合、性行為時に痛みを伴うことがあり、患者様の負担になります。
  • 医師からの指示:手術後や治療中など、医師から性行為を一時的に控えるよう指導される場合があります。性行為に関する悩みがある場合は、医師に相談することで個別の状況に応じたアドバイスを受けられます。