子宮筋腫とは
子宮筋腫は、子宮の壁に発生する良性腫瘍です。腫瘍の発生する部位によって以下のように分類されます。
- 筋層内筋腫:子宮筋層にできる腫瘍で、全体の約70%を占めます。
- 粘膜下筋腫:子宮内膜に近い部分にできる腫瘍。
- 漿膜下筋腫:子宮の外側に向かってできる腫瘍。
子宮筋腫は、女性の20~40%に見られる一般的な疾患であり、特に30~40代の女性に多く発症します。閉経を迎えると女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少するため、小さくなる傾向があります。
良性であるため命を脅かすことはありませんが、生理不順、不正出血、不妊症、流産、早産などの原因になることがあります。
子宮筋腫が大きくなる
スピード
子宮筋腫はエストロゲンの影響で成長します。発見されやすい年代は30~40代ですが、発生や成長スピードには個人差があります。閉経後にはエストロゲン分泌が低下するため、筋腫が小さくなることが多いです。ただし、10代や60代で発見されるケースもあります。
子宮筋腫の症状
主な症状には以下が挙げられます。
- 過多月経:経血量が多い
- 過長月経:生理期間が長い
- 月経痛
- 腹部のしこり:外から触って分かる
- 貧血:過多月経による
大きな子宮筋腫の場合、周囲の臓器を圧迫し、以下のような症状を引き起こすことがあります。
- 頻尿
- 排尿障害
- 便秘
- 腰痛
さらに、不妊症、流産、早産の原因の1つとされています。
子宮筋腫の原因
子宮筋腫はエストロゲンの影響で成長しますが、根本的な原因は明確に解明されていません。当院では、患者様の症状や体質に合わせた治療法を提案し、ホルモン治療の適応についても検討しています。
子宮筋腫になりやすい人の
特徴とは?
以下の特徴を持つ方は子宮筋腫が発生しやすいとされています。
- 年齢:30~40代の女性
- 初経の早さ:初経が早い方
- 妊娠・出産経験:妊娠や出産経験が少ない、またはない方
- 生活習慣:肥満、高血圧、飲酒習慣がある方
これらの要因がエストロゲン分泌期間を長くすることで、子宮筋腫のリスクを高めると考えられています。
子宮筋腫の診断・検査方法

子宮筋腫が疑われる場合、以下の検査を行い、診断を確定します。
内診
筋腫の有無や位置、大きさを確認する基本的な診察です。不安がある場合は、医師に相談してください。
血液検査(貧血検査)
ヘモグロビン値を測定し、過多月経などによる貧血の有無を確認します。
超音波検査
腹腔内の状態を超音波で観察し、子宮筋腫や卵巣の異常がないか確認します。
MRI検査
超音波検査で筋腫が発見された場合、大きさや位置などをより詳細に調べるためにMRI検査を行います。
子宮筋腫の治療
症状がなく、不妊の原因になっていない場合は、経過観察を選択することもあります。症状がある場合や不妊の原因となっている場合には、以下の治療を検討します。
低用量ピルの内服
効果
経血量を減少させ、月経痛を軽減する効果が期待できます。また、筋腫の成長を抑制し、小さくする場合もあります。
偽閉経療法
方法
GnRHアンタゴニストやGnRHアゴニストというホルモン剤を投与して一時的な閉経状態を作り出します。
適応
自然閉経を迎えるまでの期間や手術前の準備として実施されます。
注意点
治療を中止すると筋腫は元の大きさに戻る可能性があります。
手術
(筋腫核手術、子宮全摘術)
筋腫核出術
子宮を残し、筋腫のみを切除する手術。妊娠を希望する方に適しています。
子宮全摘術
子宮を全て摘出する手術。妊娠を希望しない場合や筋腫が非常に大きい場合に検討されます。
術式
腹腔鏡手術や開腹手術など、症例に応じて選択されます。
子宮筋腫の方が
やってはいけないこと

ホルモン療法の自己判断
理由
エストロゲンは子宮筋腫の成長を促進する可能性があります。
注意点
ホルモン補充療法やピルの使用は、医師の指示に従いましょう。自己判断での使用は筋腫の増大や症状の悪化につながる可能性があります。
過度な体重増加
リスク
肥満はエストロゲンの生成を促進し、子宮筋腫の成長を助長する要因とされています。
推奨
- バランスの良い食生活を心がけ、栄養素を偏らせないよう注意しましょう。
- 日常的な軽い運動を取り入れ、適切な体重管理を行うことが重要です。
無理な運動や過度な
ストレス
リスク
筋腫が大きい場合や症状が現れている場合には、激しい運動や重い物を持ち上げる行為は避けましょう。これらは症状を悪化させる可能性があります。
推奨
- 無理のない範囲でウォーキングや軽いストレッチなどを行いましょう。
- ストレスはホルモンバランスに影響を与えるため、リラクゼーションや趣味を取り入れて、心身の健康を維持することを心掛けてください。