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FT(卵管鏡下卵管形成術)

FT(卵管鏡下卵管形成術)
とは?

FTは、卵管の閉塞や狭窄が不妊の原因となっている方に行う治療法です。バルーンが内蔵されたカテーテルを膣から子宮、卵管の入口まで挿入し、バルーンを膨らませて卵管を開通させます。これにより、卵子や精子が通りやすくなり、妊娠の可能性が高まります。
治療後は、自然妊娠を目指すほか、タイミング法や人工授精、場合によっては体外受精へと進むステップとしてFTが選ばれることもあります。

人工授精・卵管鏡下手術と
体外受精の違い

人工授精(AIH)

人工授精(AIH)採取して濃縮した精子を子宮内に注入し、女性の体内で自然に受精・妊娠を目指す方法です。

人工授精(AIH)について
詳しくはこちら

FT(卵管鏡下手術)

FT(卵管鏡下手術)卵管の通りを広げることで、卵子と精子がスムーズに出会える環境を整える治療法です。卵管性不妊症の方に特に適しています。

体外受精(IVF)

体外受精(IVF)培養室で卵子と精子を受精させ、育てた受精卵を子宮内に戻す治療法です。
これらの治療法の大きな違いは、受精が体内で起こるか、体外で起こるかという点です。患者さまの状態や治療計画に基づき、最適な方法をご提案いたします。

体外受精(IVF)について
詳しくはこちら

FT(卵管鏡下卵管形成術)が
必要なケース

FTは、不妊症の原因を解消し、妊娠の可能性を高めるために行われる治療法です。以下のような状況で、FTが適用される場合があります。

卵管が詰まっている、
または狭くなっている場合

卵管の閉塞や狭窄によって精子や卵子の通り道が妨げられている場合、FTが有効です。特に卵管造影検査や通水検査で異常が確認された際に適用されることが多い治療法です。

子宮内膜症や感染症の影響で卵管に問題がある場合

子宮内膜症や過去の感染症による影響で卵管が癒着しているケースにもFTが効果を発揮します。卵管の機能を改善し、自然妊娠の可能性を高めることが期待されます。

卵管内や周囲の癒着がある場合

卵管やその周囲に癒着があると、卵管の動きが制限され、受精が難しくなります。FTは、癒着を取り除き卵管の正常な動きを取り戻すことで、受精の可能性を高めます。

他の治療で
結果が出なかった場合

人工授精や排卵誘発剤など、ほかの不妊治療を試しても妊娠に至らない場合、FTが次の治療の選択肢となります。FTを行うことで、体外受精以外の方法で妊娠が可能になる場合があります。
FTが適しているかどうかは、診察や検査結果をもとに判断されます。不安や疑問がある場合は、医師に相談しながら治療の選択を進めてください。

FT(卵管鏡下卵管形成術)の
治療手順とスケジュール

1初診と検査

治療の第一歩として、卵管の状態を詳しく調べます。卵管造影検査や超音波検査を実施し、必要に応じて血液検査やホルモン値の測定を行い、全身の健康状態を確認します。

2治療計画の作成

検査結果をもとに、卵管の詰まり具合や狭窄の程度を評価します。さらに、排卵のタイミングを考慮しながら、治療に最適な時期と方法を慎重に決定します。

3FTの施術

治療は以下の手順で進められます

1静脈麻酔を実施

患者さまには静脈麻酔を行い、リラックスした状態で治療を受けていただきます。痛みや恐怖心を感じることなく、安心して施術を受けられます。

2カテーテルの挿入

柔らかいカテーテルを子宮頸部から挿入し、卵管の入口まで慎重に誘導します。

3卵管鏡の使用

卵管鏡を使用し、卵管内部を直接観察します。これにより、閉塞や狭窄の部位を正確に確認します。

4バルーンの膨張

卵管鏡を進めながら、カテーテル先端のバルーンを膨らませます。狭窄や閉塞している部分を優しく広げることで、卵管の通過性を改善します。この間も卵管内の状態を慎重に確認しながら施術を進めます。

4アフターケアと経過観察

治療後は麻酔が完全に覚めるまで院内で安静に過ごしていただきます。その日のうちに通常の日常生活に戻ることができますが、激しい運動や重労働は控えるようにしてください。

5妊娠を目指す治療

FT終了後は、自然妊娠を目指すことが一般的です。また、必要に応じてタイミング法や人工授精などの治療法を組み合わせることも可能です。患者さまの体調やご希望に合わせて、医師と相談しながら最適な治療計画を立てていきます。

FT(卵管鏡下卵管形成術)の
メリット・デメリット

メリット

FTには、以下のようなメリットがあります。

自然妊娠、タイミング法・人工授精による妊娠が成立しやすくなる

FTは卵管の閉塞・狭窄を改善し、卵子と精子がスムーズに出会える環境を整えます。この治療により、自然妊娠やタイミング法、人工授精による妊娠の成功率が高まります。
実際、FT後に妊娠された方のうち、80%が6カ月以内に妊娠し、90%が10カ月以内に妊娠しています。妊娠率を上げるためにも、卵管性不妊症が疑われる場合はFTを検討することが推奨されます。

体外授精に進む前のステップ
として1つの選択肢となる

両側の卵管が閉塞している場合、体外受精以外での妊娠は難しいとされていますが、FT(卵管鏡下卵管形成術)を行うことで、体外受精に頼らない妊娠の可能性を広げることができます。
FTは健康保険が適用されるため、経済的な負担を軽減しつつ、自然妊娠やタイミング法、人工授精による妊娠を目指すことが可能です。体外受精を検討されている方でも、FTが一つの選択肢となる場合があります。

特に20代の女性で
妊娠の成立が期待できる

20代の女性は一般的に卵巣予備能が高く(卵子の数が多い)、「卵管鏡下卵管形成術(FT)」後に妊娠が成立しやすいとされています。そのため、特に若い世代の患者さまにとって有効な治療法の一つといえます。
FTを実施する際には、患者さまの年齢や卵巣予備能を考慮しながら、適切なタイミングと方法で行うことが大切です。医師としっかり相談し、ご自身に最適な治療計画を一緒に立てていきましょう。

卵管の状態を正確に調べられる

卵管鏡下卵管形成術(FT)では、治療中に卵管内を詳細に調べることができます。これにより、卵管の状態を正確に把握することが可能となり、必要に応じて、生殖補助医療(体外受精など)への切り替えの適切なタイミングを判断するための貴重な情報を得られます。

デメリット

以下のようなデメリットがあることも、事前に把握しておきましょう。気になることがあれば、何でもお気軽にお尋ねください。

FT後、必ず妊娠に至るとは
限らない

卵管鏡下卵管形成術(FT)は卵管の閉塞・狭窄を改善することで妊娠の可能性を高めますが、治療後に必ず自然妊娠やタイミング法、人工授精で妊娠が成立するわけではありません。また、術後の再閉塞率は6~22%程度と報告されており、治療後も継続的な経過観察が重要です。

卵管采が完全に癒着している
ケースには適さない

卵管采(卵管の子宮から一番遠い部分)が完全に癒着している場合、FTでは効果が期待できません。このような場合には、腹腔鏡手術が必要となることがあります。 一方で、FTが効果的なのは、卵管の近位部(子宮に近い部分)で詰まりや狭まりがある場合です。治療方法の選択は、検査結果をもとに医師と一緒に相談しながら決めていきます。わからないことや不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

治療・麻酔による副作用が
起こることがある

FT(卵管鏡下卵管形成術)では、治療後に発熱・腹痛・少量の出血などの一時的な副作用が起こることがあります。また、静脈麻酔を使用するため、麻酔によるふらつきや倦怠感が生じる場合もあります。
安全のため、治療当日は車の運転を控えていただき、ゆっくりとお過ごしください。不調が続く場合や症状が強い場合には、すぐに当院にご連絡ください。

FT(卵管鏡下卵管形成術)で
妊娠できない原因

加齢に伴う卵子の質の低下

年齢とともに卵子の質は徐々に低下し、妊娠の可能性も下がっていきます。卵管が開通しても、卵子の質の問題によって妊娠に至らない場合があります。

精子の受精障害

男性側の問題として、精子の数が少ない、運動率が低い、あるいは抗精子抗体がある場合、受精が難しくなり、FT後の妊娠が成立しないことがあります。

卵管のピックアップ障害

過去のクラミジア感染症や子宮内膜症の影響で、卵管が卵子を取り込む働き(ピックアップ機能)が低下している場合があります。このような場合、卵管が開通していても卵子と精子が出会えず、妊娠が成立しにくくなります。

当院のFT(卵管鏡下卵管形成術)の費用

片側の卵管に対する治療費は、139,230円(3割負担の場合)となります。 ※費用は健康保険適用後の金額です。 詳しい費用やお支払い方法については、スタッフまでお気軽にお問い合わせください。

FT(卵管鏡下卵管形成術)
に関するよくある質問

卵管鏡下卵管形成術(FT)の痛みや負担はどれくらいですか?

FTは静脈麻酔を使用して行うため、治療中に痛みを感じることはありません。また、眠った状態で治療を受けられるため、恐怖心や緊張もほとんどありません。
治療後は当日中の安静をお願いしていますが、翌日から普段通りの生活に戻ることが可能です。副作用が心配な場合や気になることがあれば、事前にご相談ください。

卵管鏡下卵管形成術(FT)でどのくらいの妊娠率がありますか?

FT後の妊娠率は20~40%とされており、その効果は約半年間続くと言われています。妊娠に至るケースの多くは、FT後3~4カ月以内に妊娠が成立する傾向があります。
個々の妊娠率は患者さまの年齢や卵巣機能、卵管の状態によって異なりますので、詳細については医師にご相談ください。

生理中にFT(卵管鏡下卵管形成術)は可能ですか?

FTは、生理が終了してから排卵までの期間に行うのが一般的です。この時期は子宮内膜が薄く、より正確な処置が可能です。そのため、生理中にFTを行うことはできません。
受診のタイミングや生理周期によっては、手術を翌月以降に調整する場合がありますので、詳しくは医師にご相談ください。