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原因不明不妊症について

原因不明不妊症とは

原因不明不妊症とは「原因不明不妊症」とは、不妊症の中でも特殊なケースを指します。
通常、不妊症にはさまざまな原因があります。例えば、ホルモンバランスの乱れ、卵管の異常、精子の問題など、医学的に特定できる要因が多くあります。しかし、原因不明不妊症の場合、これらの一般的な検査では明確な異常が見つからないのが特徴です。このタイプの不妊症は、不妊症全体の約10〜20%に見られます。

原因不明不妊症の主な特徴

不妊の原因が特定できない理由

原因不明不妊症では、以下の理由により不妊の原因が特定できないことがあります。

一般的な検査では異常が
見つからない

不妊の原因を特定するために、ホルモン検査、卵管造影検査、精液検査、超音波検査などが行われます。しかし、原因不明不妊症と診断される場合、これらの検査結果がすべて正常と判断されます。つまり、医学的には「正常」であるにもかかわらず、妊娠しにくい状態が続くということです。

なぜ原因不明不妊症に
なるのか?

原因不明不妊症の原因は完全には解明されていませんが、以下のような仮説が考えられています。通常の検査では検出できない微細な問題や、複数の要因が組み合わさることで不妊を引き起こしている可能性があります。

女性側の主な不妊の原因

排卵因子

無排卵、多嚢胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症、黄体機能不全などが原因で排卵障害が生じ、不妊に至ることがあります。

卵管因子

卵管の狭窄や閉塞が起こることで、卵子と精子が出会えず受精が妨げられます。クラミジア感染症、子宮内膜症、虫垂炎が主な原因です。卵管采の機能不全(ピックアップ障害)も不妊の原因になります。

子宮因子

子宮筋腫、子宮内膜症、子宮奇形など、子宮の異常により受精卵の着床や発育が妨げられることがあります。

頸管因子

子宮頸管で分泌される頸管粘液の量や性状の異常、頸管の狭窄、クラミジア感染症による炎症、または抗精子抗体の存在などが原因となり、精子が子宮内へ進みにくくなる場合があります。

男性側の主な不妊の原因

造精機能障害

睾丸の異常により、精子の数が十分に作れない、精子の運動性が低い、または奇形精子の割合が高くなる状態を指します。原因が不明な場合が多いですが、精索静脈瘤や抗がん剤治療、放射線治療などが関与することもあります。

精索静脈瘤

陰嚢内にある精索静脈という血管が詰まり、瘤を形成する状態です。この状態では、血行障害や陰嚢の温度上昇が生じ、精液異常や精子の質の低下が引き起こされます。

勃起不全(ED)

性交に必要な十分な勃起が得られない、または持続しない状態を指します。過労やストレス、過去の性行為での失敗体験によるトラウマなどが原因として挙げられます。射精障害と共に性機能障害に分類されます。

射精障害

脊椎の損傷による外傷や逆行性射精などが原因で射精ができない状態を指します。また、心理的な要因による心因性の射精障害も少なくありません。

男性不妊について
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原因不明不妊の治療

原因不明不妊症の治療は、原因が特定されないため、いくつかの方法を段階的に試みる形で進められます。まずは身体への負担が少ない治療法から始め、効果がなければ次のステップに進むのが一般的です。以下の治療法が主に実施されます。

タイミング法

排卵のタイミングに合わせて性交を行う治療法です。基礎体温の測定や排卵検査薬、超音波検査で卵巣の状態をモニタリングし、妊娠に最適な時期を特定します。原因不明不妊症の治療では、最初に試されるケースが多い方法です。

タイミング法について
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対象となる方

軽度の不妊症や、特定の問題が見つからない場合に行われます。身体への負担が少なく、初期段階で試みられる治療法です。

人工授精

人工授精では、男性から採取した精液を洗浄・濃縮し、子宮内に直接注入することで精子が卵子に到達する確率を高めます。自然妊娠の成功率を向上させる目的で行われます。

人工授精について
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対象となる方

タイミング法が成功しなかった場合や、軽度の精子異常がある場合に有効です。また、排卵障害がない方にも適しています。

体外受精(IVF)

卵巣から採取した卵子と精子を体外で受精させ、その受精卵を子宮に戻す治療法です。他の治療法で結果が出なかった場合や、長期間の不妊に悩む場合に選択されます。次のステップとして行われることが多い治療法です。

体外受精(IVF)について
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対象となる方

他の治療法で効果が見られない場合や、年齢的に妊娠のタイムリミットが迫っている場合に適しています。また、精子や卵子の質に問題がある場合にも有効です。

顕微授精(ICSI)

顕微授精は体外受精の一種で、精子を顕微鏡下で直接卵子に注入する技術です。精子の運動性や数に問題がある場合、または自然な受精が難しい場合に行われます。

顕微授精(ICSI)について
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対象となる方

精子に微細な異常が見られる場合や、通常の体外受精で妊娠が成立しない場合に有効な治療法です。

生活習慣の改善

原因不明不妊症では、生活習慣や食事、運動、ストレス管理が妊娠の可能性に影響を与えることがあります。栄養バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスを軽減するためのメンタルケアが推奨されます。医学的な異常が見つからない場合でも、生活習慣を見直すことで妊娠率が向上する可能性があります。

妊娠しやすい生活習慣

妊娠しやすい生活習慣原因不明不妊症であっても、タイミング法、人工授精、体外授精、顕微授精といった不妊治療を行うことで、妊娠の可能性を高めることができます。また、不妊治療と並行して生活習慣を改善し、妊娠しやすい身体づくりを行うことも重要です。妊娠しやすい身体づくりのためには、以下の生活習慣が推奨されます。

栄養バランスの良い食事

体内のホルモンバランスを整え、卵子や精子の質の向上に寄与します。特に、ビタミンやミネラルを意識した食事が重要です。

十分な睡眠

ホルモン分泌を正常化させるためには、7~8時間の十分な睡眠を確保しましょう。

適度な運動

血流を改善し、基礎代謝を高めることで、生殖機能の向上に繋がります。過度な運動は避け、無理なく続けられる運動を心がけましょう。

ストレスの解消

ストレスはホルモンバランスに悪影響を与えるため、日常的にリラックスする時間を作ることが大切です。
さらに、以下の取り組みも妊娠率向上に役立ちます。

肥満の改善・痩せすぎの
防止

適切な体重を維持することで、生殖機能が正常に保たれやすくなります。

禁煙・節酒

タバコや過度の飲酒は、生殖機能に悪影響を及ぼすため、禁煙や節酒を心がけましょう。

これらの生活習慣の改善は、できる限りお二人で協力して取り組むことをおすすめします。女性の卵巣機能や卵子の質の維持だけでなく、男性の精子の質の向上、勃起不全の予防、さらには糖尿病などの生活習慣病の予防にも役立ちます。また、夫婦で一緒に努力することで、精神的な安定や絆を深めることができるため、妊娠を目指す上で大きな助けとなるでしょう。